不動産のホームページ制作は、「不動産」で一括りにした瞬間に判断を誤ります。同じ不動産会社でも、物件を探させるサイトと、会社を信じてもらうサイトでは、集まる人の数も、作るページも、公開後にやることもまったく違うからです。
この記事では、まずその分岐を整理します。そのうえで、当社がアクセス解析を担当している不動産系サイトの実測と、当社が公開している不動産関連の実績12件(うち制作期間を公開している6件は4〜8カ月、ページ数を公開している6件は16〜46ページ)をもとに、型の決め方・現在地の測り方・機能・更新体制・費用の考え方までを順に見ていきます。
制作会社に相談する前に社内で決めておくべきことと、他社に依頼するときに聞いておくとよいことを、実際の数字と当事者の言葉の範囲で書きました。
目次
- 1 先に結論:発注前に決めておく6項目
- 2 不動産のホームページは3つの型に分かれる
- 3 ポータルに出しているのに、自社サイトを作る意味はあるのか
- 4 作る前に、自社サイトの現在地を3つの数字で測る
- 5 不動産のサイトは何ページ・何カ月かかるのか
- 6 費用はどう決まるのか
- 7 物件情報の更新を、自社でできる状態にする
- 8 機能はどこまで必要か──検索軸・シミュレーション・お気に入り
- 9 物件写真と原稿は誰が用意するのか
- 10 支店・エリアごとに分けるか、1サイトに集約するか
- 11 採用サイトを別に作るべきか
- 12 上場・グループ再編に合わせて作る場合
- 13 物件情報を載せるサイトで、制作前に確認しておく論点
- 14 作り直すか、直しながら使うか
- 15 誰が、どう作るのか
- 16 不動産関連の公開実績
- 17 まとめ:発注前に決めておく6項目
先に結論:発注前に決めておく6項目
この記事の結論を先に置きます。相談前に社内でこの6つが決まっていれば、初回の打ち合わせから具体的な話に入れます。
- どの型のサイトか──物件を探させる型/会社を信じてもらう型/人を集める型のどれを作るのか
- 今の3つの数字──月間セッション、表示回数とクリック率、平均掲載順位
- 掲載する物件情報の項目と更新者──表示項目を自社の法務・所属協議会の確認を経て確定し、誰が更新するかまで決める
- 必要な機能──検索軸をいくつ持たせるか、シミュレーションやお気に入りを内包するか
- 写真と原稿の調達──自社で用意するか、撮影・取材から依頼するか
- 公開希望日からの逆算──公開希望日から制作期間と社内稟議の期間を引いて、着手時期を出す
以下、この6項目それぞれについて、判断の材料になる事実を順に見ていきます。
不動産のホームページは3つの型に分かれる
結論から書きます。不動産のホームページは、①物件を探させる型 ②会社を信じてもらう型 ③人を集める型の3つに分かれます。どれを作るかで、ページ数も、必要な機能も、公開後に見る数字も変わります。
この分岐を最初に決めないまま「不動産のホームページを作りたい」と相談すると、制作会社ごとに前提の違う提案が出てきて、比較そのものが成立しなくなります。
物件を探させる型(物件情報サイト・サービスサイト)
賃貸・管理や、寮・社宅のようなサービス単位のサイトがここに入ります。特徴は、ページが「一覧+詳細+条件別」で増えていくこと。検索軸をいくつ持たせるか、物件情報を誰が更新するかが、そのまま設計と見積に跳ね返ります。
見るべき数字も「何人来たか」だけでは足りません。検索結果に出ているか、出たうえでクリックされているかまで見る必要があります。
会社を信じてもらう型(コーポレート/IR)
取引先や金融機関、地主、投資家に向けて、会社の実体を伝えるためのサイトです。物件の在庫を並べるのではなく、事業内容・実績・体制・開示情報を整理します。
この型では、来訪数が多いことよりも、来た人が知りたい情報にたどり着けることが優先されます。上場やグループ再編に合わせて作る場合は、IR情報の増設など、通常のコーポレートサイトにない要件が加わります。
人を集める型(採用サイト)
採用媒体を見た人が、その次に確かめに来る場所です。媒体側の訴求と自社サイトの中身がずれていると、そこで離脱が起きます。当社の不動産関連の公開実績12件のうち3件は採用関連です。そのうち1件では、採用媒体から訪問した人とのミスマッチを防ぎたいという課題が出発点になっていました。
「不動産=BtoC」とは限らない
当社がアクセス解析を担当しているサイトのうち、不動産業に分類できた38サイトの内訳は、賃貸・管理25/売買・仲介9/デベロッパー4でした。同じ38サイトをビジネスモデルで分けると、BtoC 20/BtoB 14/BtoB2C 4です。
不動産と聞くと個人向けを思い浮かべますが、当社が見ている範囲でも、企業向け・企業経由の顧客を想定したサイトが相応にあります。自社がどちらに寄っているかで、サイトに置くべき情報は変わります。
当社が担当する不動産系38サイトの内訳。企業向け・企業経由が18サイト
出典:GrowGroupがアクセス解析を担当するサイトのうち、不動産業に分類できた38サイト(2026年5月上旬時点)。業種の内訳は 賃貸・管理25/売買・仲介9/デベロッパー4。当社が関与したサイトの構成であり、業界全体の比率ではありません。
当社の公開実績12件も、型は割れています。サービスサイト、コーポレート+採用、採用単体といった具合です。「不動産の制作実績があります」という言葉だけでは、自社に近い経験かどうかは分かりません。

サービスサイト/7カ月/44ページ/WordPress
この記事では、背景まで公開されている案件を章をまたいで何度も参照します。呼び方が変わると同じ案件だと分からなくなるので、先に固定しておきます。上の共立メンテナンス様の名古屋支店向けサイトを「名古屋の案件」、同社の関西支店向けサイトを「関西の案件」、後半で触れるエリアを絞った物件サイトを「エリア特化の案件」と呼びます。採用関連の2件は、社名で「AVANTIA様の採用サイト」「コロンビア・ワークス様の新卒採用サイト」と書きます。
自社がどの型かを見分ける3つの質問
- サイトに載せる情報は、毎週入れ替わりますか。入れ替わるなら物件を探させる型です。更新の担当者を先に決める必要があります。
- 来てほしい人は、個人ですか、企業ですか。企業なら、物件の並びより会社の実体を示す情報が先に要ります。
- 今いちばん困っているのは、問い合わせですか、採用ですか。採用なら、コーポレートサイトの一部として作るか、別サイトにするかの判断が最初に来ます。
提案書を受け取ったら、その冒頭でこの3つの型のどれとして設計しているのかが明示されているかを確認してください。ここが曖昧なまま画面案が出てくる提案は、後工程でページ数と期間が動きます。
ポータルに出しているのに、自社サイトを作る意味はあるのか
型が決まると、次に出てくるのが「そもそも自社サイトは要るのか」という問いです。結論として、自社サイトはポータルサイトの代わりではありません。比較されたあとに見られる場所として機能します。役割が違うので、どちらかがあればもう一方が不要という関係にはなりません。
ポータルの代わりではなく「比較されたあとに見られる場所」
物件を探す人は、条件で絞り込む段階と、依頼先を決める段階を分けて動きます。前者で強いのがポータル、後者で見られるのが自社サイトです。
この差は、当社の実績にも当事者の言葉として残っています。エリア特化の案件のコメントには、「より物件の魅力や情報を発信し」という一節があります。ポータルの物件枠は、間取り・賃料・面積・所在地といった、比較するための項目で構成されています。比較のための枠である以上、書ける分量も項目もそろえられています。裏を返せば、その枠に収まらない情報は書けません。物件の魅力をどれだけの分量で、どんな順番で書けるか。それを自分で決められるのが自社サイトです。
「枠に収まらない情報」とは何か。抽象的な話にしないために、当社が実際に手がけた不動産・住まい関連の案件で、課題や要件として挙がった項目を並べます。
- 料金の内訳──総額だけでなく、何にいくらかかるのか。名古屋の案件では「料金」への導線不足が離脱要因として整理されていました
- 物件写真の点数と、そこへの導線──同じ案件で「物件写真」への導線不足も課題に挙がっています
- 検討中に出てくる疑問に答えるFAQ──名古屋の案件では、FAQを再訪・再検討を促す機能として要件に置いていました
- 費用のシミュレーション──同じ案件では、既存サイトのシミュレーション機能が外部サイトへ遷移する作りになっていたことが課題として整理されていました
いずれも、ポータルの物件枠には入りきらない情報です。会社の姿勢、対応エリア、担当者の顔、問い合わせ後の流れも同じで、置き場所は自社サイトしかありません。機能そのものの話は後半の章で扱いますが、「ポータルにない情報をどこに置くか」という問いとして見ると、自社サイトの役割ははっきりします。
なお、ポータルの送客数やシェア、掲載料と自社サイトの費用対効果の比較といった数字は、当社が一次情報として持っていないため、この記事では扱いません。役割が違う、という以上のことは書けないというのが正直なところです。他社の記事で見かける比較の数字も、出典と取得時点を確認してから扱ってください。
エリアや事業を絞った自社サイトを選んだ実例
全社共通のサイトがすでにある状態で、あえてエリアを絞ったサイトを別に作る判断もあります。エリア特化の案件では、当事者のコメントとして「各支店共通のサイト自体は以前からあるものの名古屋エリアに特化したサイトを構築することで、より物件の魅力や情報を発信しお問合せの反響を増やしていきたい」という記載が残っています。
共通サイトは全社の情報を平等に扱うため、特定エリアの物件の魅力を深く書くには向きません。絞ったサイトを別に持つのは、その制約を外すための選択です。ただしサイトが増えれば更新の手間も増えます。分けるかどうかの判断軸は、後半の章で改めて整理します。
判断が付かない場合は、次章の3つの数字を先に見てください。指名検索でしか来ていないのか、条件検索でも来ているのかで答えが変わります。社名や物件名で直接来る人しかいないなら、自社サイトは「比較されたあとに見られる場所」としての性格が強くなります。条件検索でも来ているなら、ポータルとは別の入口としての設計が要ります。
当社の場合は、「自社サイトに何を担わせる提案なのか」を提案書の最初に書くようにしています、とお答えしています。同じ質問を他社にもしてみてください。ポータルと同じ機能をもう一つ作る提案になっていないか、そこで分かります。
作る前に、自社サイトの現在地を3つの数字で測る
作る前にやることは、今の自社サイトの現在地を測ることです。ここを飛ばすと、公開後に「良くなったのか分からない」状態になります。測るのは3つだけで足ります。
測る数字は3つ(月間セッション/表示回数とクリック率/平均掲載順位)
- 月間セッション:サイトに来た訪問の回数です。人数でもページ閲覧数でもありません。
- 表示回数とクリック率:検索結果に出た回数と、そのうちクリックされた割合です。
- 平均掲載順位:検索結果での平均的な並び順です。
この3つは、Googleアナリティクスとサーチコンソール(検索結果での見え方を確認する無料ツール)で確認できます。制作会社に相談する前に、直近1カ月分をメモしておくだけで、提案の精度が変わります。
同じ「賃貸・管理」の中でもアクセスは3桁違う
当社がアクセス解析を担当している不動産系サイトのうち、賃貸・管理に分類した19サイト(2026年5月上旬時点の30日間=月間、同一企業グループが複数サイトを運営しているケースを含みます)で見ると──月間セッションは最小19から最大69,591まで、3桁の開きがあります。
19サイトの月間セッション。最小19、最大69,591。中央値は1,759
出典:GrowGroupがアクセス解析を担当する不動産賃貸・管理の19サイト(2026年5月上旬時点の30日間=月間)。同一企業グループが複数サイトを運営しているケースを含みます。当社が関与したサイトの実測であり、業界平均ではありません。横軸は対数目盛です。
つまり「不動産のサイトなら月◯セッションが普通」という基準は存在しません。同じ業種、同じ賃貸・管理という分類の中ですら、この幅です。他社の平均値と比べるより、自社の先月と比べるほうが意味があります。
表示は出ているのに、クリックはされていない
同じ母集団のうち、サーチコンソールのデータを確認できたサイトも見てみました。ただしここは数字の読み方に注意が必要です。
指標ごとに中央値を出すと、表示回数の中央値と、クリック数の中央値はそれぞれ別のサイトの数字になります。それを並べて「表示は多いのにクリックが少ない」と読むと、実在しない1社の姿を語ることになります。ですから、ここでは実在する2サイトをそのまま並べます。
同じ「賃貸・管理」の2サイト。差を作っているのは平均掲載順位
出典:GrowGroupがアクセス解析を担当する不動産賃貸・管理のサイトのうち、実在する2サイトの実測値(2026年5月上旬時点の30日間=月間)。当社が関与したサイトの実測であり、業界平均ではありません。
| Aサイト | Bサイト | |
|---|---|---|
| 検索結果に並んだ回数(表示) | 14,298回 | 13,418回 |
| 平均掲載順位 | 21.0位 | 8.5位 |
| クリックされた回数 | 84回 | 1,542回 |
| クリック率 | 0.59% | 11.49% |
※どちらもGrowGroupがアクセス解析を担当している不動産賃貸・管理のサイト。2026年5月上旬時点の30日間=月間の実測値です。当社が関与したサイトに限った数字であり、業界平均ではありません。
表示回数はほぼ同じ、1.3〜1.4万回台です。それでもクリックは84回と1,542回で、約18倍違います。
差を作っているのは順位です。21.0位は検索結果の2〜3ページ目にあたります。そこに1万4千回並んでも、クリックは84回にしかなりません。
ここから言えることは1つです。「表示回数」は、見られた回数ではありません。検索結果に並んだ回数です。表示回数だけを見て「露出は取れている」と判断すると、実態を見誤ります。必ず順位とセットで見てください。
参考までに、表示回数が1,000回以上あった11サイトを合計すると、表示848,938回に対してクリック37,488回、全体のクリック率は4.42%でした。自社の数字がこれを大きく下回っているなら、順位と、検索結果に出ているタイトル・説明文の両方を確認する価値があります。
売買・仲介は「表示母数がない」ことが多い
売買・仲介については、当社が確認できたサイト数が少ないため、数値は出しません。定性的な傾向として、表示回数そのものが桁違いに少ないサイトが目立ちます。クリック率を改善する以前に、検索結果に出る機会が足りていない状態です。
この場合、サイトを作り直すこと自体より、載せるページが足りているかのほうが先の論点になります。
逆に、表示回数は出ているのにクリック率が1%台で、着地したページが会社案内しかないという状態なら、ページを足す前にサイトの構造そのものを見直したほうが早いことがあります。人が来ているのに受け止める場所がない、という状態だからです。この場合は、作り直しを含めて検討する段階に来ていると考えてください。
初回の打ち合わせで、提案を作ってもらう前にこの3つの数字を見てもらってください。そのうえで、今回の制作でどの数字を動かすつもりなのかを聞く。数字を見ずに「アクセスを増やします」と書かれた提案は、公開後の検証ができません。
不動産のサイトは何ページ・何カ月かかるのか
現在地が測れたら、次は規模感です。先に結論を書きます。当社の不動産関連の公開実績のうち、制作期間を公開している6件(n=6)は4〜8カ月でした。ページ数を公開している6件(n=6)は16〜46ページ、中央値は37ページです。期間とページ数の両方が公開されている案件は一部で、n=6の内訳は同一ではありません。なお、制作期間を公開している6件に、3カ月以内で完了したものはありません。
当社の不動産関連実績、実際の期間とページ数
期間の6件の内訳は、7カ月・8カ月・8カ月・7カ月・4カ月・4カ月です。短い4カ月の2件は、採用サイトと、エリアを絞った物件サイトでした。長い8カ月の2件は、物件情報サイトのリニューアルと、コーポレート+採用の同時リニューアルです。扱う情報の種類が増えるほど、期間は長くなります。
比較のために、当社の全公開実績も出しておきます。期間の中央値は7カ月(n=95、最小2・最大12)、ページ数の中央値は27ページ(n=89、最小1・最大115)です。不動産関連のページ数中央値37ページは、これより多い側に位置しています。物件情報を扱うサイトが含まれる分、テンプレートと下層ページが増えるためと考えられます。
当社の全公開実績の中央値27ページに対し、扱う情報が増えるほど大きくなる
出典:GrowGroupが grow-group.jp/works/ で期間とページ数を公開している不動産関連の案件(n=5)。参考値の27ページは当社の全公開実績のページ数中央値(n=87)。

物件情報サイト/8カ月・37ページ
なぜページ数が増えるのか(一覧+詳細+条件別の構造)
ページ数が増える理由は、物件情報が「1ページ」ではなく「構造」だからです。物件を扱うサイトは、一覧ページ・詳細ページ・条件で絞り込んだ結果のページという三層になります。ここに会社情報、サービス説明、問い合わせ、お知らせが乗ります。
見積の段階で数えられるのは、このうちデザインを起こす画面(テンプレート)の数です。物件が100件あっても詳細ページのデザインは1種類で足ります。逆に、賃貸と売買で詳細の項目が違えばテンプレートは2種類になります。「物件が何件あるか」ではなく「型が何種類あるか」で数が決まります。ここを最初に合わせておくと、見積のブレが小さくなります。
公開したい時期からの逆算のしかた
当社のよくあるご質問では、コーポレートサイト20ページ・デザイン10画面・1フォーム・WordPress・マニュアルとレクチャーあり(300万円前後)という前提で、おおむね5カ月半〜8カ月とお答えしています。これはコーポレートサイトの条件での回答です。物件の一覧・詳細テンプレートや検索機能を足せば、これより長くなると考えてください。
逆算は、次の引き算で出せます。
- 公開したい日 − 制作期間 − 社内の稟議・決裁にかかる期間 = 相談を始める時期
見落とされやすいのは3つ目です。制作会社を決めるまでの社内手続きは、制作期間には含まれません。相見積もりを取る、稟議を上げる、役員会を通す。この期間を先に自社で見積もっておくと、後半で無理な圧縮をしなくて済みます。
見積書と一緒に工程表を見比べるときは、「期間には自社側の確認・原稿提供の時間が含まれているか」を最初に聞いてください。ここの認識がずれると、遅れの責任が曖昧になります。原稿と写真の提供が想定より遅れるのは、制作の現場ではよくあることです。含まれていないなら、自社側の作業日数を工程表に足したうえで、公開日が成立するかを確かめてください。
費用はどう決まるのか
期間と並んで最初に知りたいのが費用です。費用は「ページ数」ではなく「工程ごとの作業量」の積み上げで決まります。当社のよくあるご質問で公開している見積例をそのまま出します。
見積の内訳はどうなっているか
前提は、コーポレートサイト20ページ/デザイン10画面/フォーム1本/WordPress/マニュアルとレクチャーあり。この条件で3,078,720円(税別)です。
| 項目 | 金額(税別) |
|---|---|
| ディレクション | 513,120円 |
| ワイヤーフレーム | 313,600円 |
| デザイン | 824,000円 |
| HTML実装 | 560,000円 |
| WordPress構築 | 772,000円 |
| マニュアル等 | 96,000円 |
これは不動産サイトの相場ではありません。コーポレートサイトの要件例です。ただ、内訳を見ると費用の増え方が読めます。デザインとWordPress構築で全体の半分を占めています。予算を上げた場合の目安として、500万円ならおおむね40ページ/デザイン20画面とお答えしています。
不動産で費用が膨らむのは「テンプレートと検索」
不動産のサイトでは、上の6行に物件の一覧・詳細テンプレートと、検索機能が乗ります。どの行に乗るかは、おおむね次のとおりです。
- 検索軸をいくつ持たせるか、絞り込み結果をどう見せるか → ワイヤーフレーム(設計)
- 物件詳細の型が何種類必要か → デザイン(画面数がそのまま増える)
- 物件データの登録画面、条件検索の実装、シミュレーション → WordPress構築
見積書を比べるときは、「物件詳細テンプレートは何種類分か」「検索の実装はどの行に入っているか」を確認してください。総額だけを並べても比較になりません。安く見える見積は、検索機能が別途見積になっているだけということがあります。
リニューアルでも単価は大きく変わらない
「作り直しのほうが安いはず」と言われることがありますが、当社では新規制作とリニューアルで単価はおおむね同等とお答えしています。変わるのは単価ではなく、対応する業務範囲です。既存コンテンツの棚卸し、URLの引き継ぎ、既存データの移行が入る分、減る作業と増える作業の両方があります。
費用の考え方をもう少し広く知りたい場合は、当社が公開しているWeb制作の費用相場の記事に、実際の見積データをもとにした金額の分布と内訳をまとめています。不動産に限らない一般的な相場感を先に押さえておくと、個別の見積が高いのか安いのか判断しやすくなります。
物件情報の更新を、自社でできる状態にする
相談の場で繰り返し出てくる言葉のひとつが「更新できない」です。作ることより、作ったあとに動かせるかどうかを先に決めてください。
実際に挙がっている「更新できない」という言葉
当社の公開実績には、依頼時点の課題がそのまま記録されています。不動産・住まい関連の案件から、独立して3件出ていました。
「更新性が低く、情報の鮮度が保てない」「CMSの利便性を高めたい」(関西の案件)
「自社での更新ができないため、お知らせなどの更新を簡単にできるようにしたい」(AVANTIA様の採用サイト)
「納品後、自社スタッフでのページ更新を行いたい」(エリア特化の案件)
いずれも「デザインが古い」ではなく運用が止まっているという訴えです。物件情報のように鮮度が価値そのものである領域では、更新できない状態はサイトの価値をそのまま削ります。
CMSは何を管理する前提で設計するか
当社では制作するサイトの9割方にCMS(WordPress)を搭載しています。ただ、CMSを入れれば更新できるようになるわけではありません。決めるべきは「何を、誰が、どの頻度で更新するか」です。
- 物件情報:自社で1件ずつ入力するのか、CSVで一括投入するのか、基幹・管理システムから連携するのか
- お知らせ・実績:担当者が月に何回触るのか
- 料金・キャンペーン:期間限定の差し替えが発生するか
物件データの入り口をどうするかは、設計段階で決めないと後から変えにくい部分です。入力の手間が現場の実態に合っていないと、公開直後から更新が止まります。誰が入力するのかを、部署名まで決めてから仕様を固めてください。
引き渡し後に自走するための仕組み
当社の場合、納品時に40ページ前後の独自マニュアルを作成し、エンジニアによる1時間半のレクチャーを行っています。汎用のWordPress解説ではなく、そのサイトの管理画面に合わせた手順書です。
公開後の支援は、無償と有償に分かれます。無償は納品後1カ月の軽微修正と、1カ月半後のクロージングミーティング。有償はサーバー保守、WordPress保守、定期修正(毎月4時間以内)、技術サポートの4区分です。アクセス解析レポートについては、「出力数によりますが一般的には毎月30,000円ほど」とお答えしています。
当社の場合は、マニュアルはそのサイト専用に作り、レクチャーは実装したエンジニア本人が担当します、とお答えしています。同じ内容を他社にも聞いてみてください。契約前に次の3点が分かれば、公開後の運用の見通しが立ちます。
- マニュアルはそのサイト専用のものか、汎用の手引きか
- レクチャーは誰が行い、何時間か(営業担当か、実装したエンジニアか)
- 公開後の無償対応はいつまでで、どこからが有償か
機能はどこまで必要か──検索軸・シミュレーション・お気に入り
更新の設計と並んで、見積を大きく動かすのが機能です。結論から書きます。機能は「増やす」ものではなく、離脱している場所から逆算して決めるものです。外部サービスを埋め込む、あるいは外部サイトへ飛ばす設計そのものが悪いわけではありません。ただ、当社が実際に手がけた案件では、その外部遷移が離脱要因として課題に挙げられていました。
外部サイトへ飛ばす設計が離脱要因として挙がっていた
名古屋の案件では、既存サイトの課題として次のような点が整理されていました。スマートフォンでの表示に対応していないこと、費用のシミュレーション機能が外部サイトへ遷移する作りになっていたこと、そして「料金」と「物件写真」への導線が不足していたことです。これらが離脱の要因として挙げられていました。
ここで重要なのは、機能が「ない」ことではなく、機能が別のドメインに置かれていたという点です。検討中の人が金額を試算しようとした瞬間にサイトの外へ出てしまえば、その先の物件比較にも問い合わせにも戻ってきません。そこでこの案件では、シミュレーション機能をサイトの中に内包し、会員登録なしで使えるようにすることを要件として掲げました。

4ヵ月
検索軸をいくつ持たせるか
物件を探させる型のサイトでは、検索軸の数がそのままページ数と工数に跳ね返ります。軸を増やせば増やすほど、絞り込みの組み合わせが増え、テンプレートも設計も重くなるからです。
関西の案件では、学校名/物件名/特徴/エリアという4つの検索軸を持たせることを目的として掲げていました。学生寮というサービスの性質上、「通う学校から探す」という軸が成立するためです。裏を返せば、この軸は賃貸仲介や売買のサイトにそのまま当てはまるものではありません。
名古屋の案件では、指名検索とニーズ検索の両方に対応することを要件に置いていました。物件名や施設名で直接探しに来る人と、エリアや条件から探す人では、たどるページがまったく違います。自社サイトを設計するときは、まず「うちのお客様はどちらが多いのか」を決めてから、検索軸の数に落とすのが順番です。
再訪してもらうための機能(お気に入り・FAQ)
住まいの検討は一度の訪問では終わりません。名古屋の案件では、お気に入り登録とFAQによって再訪・再検討を促すことを要件としていました。比較検討が長い商材では、「もう一度見に来てもらう理由」を機能として持たせる考え方です。
ただし、お気に入り機能は会員管理や保存の仕組みを伴うため、実装の負荷は小さくありません。まずFAQを充実させるだけで疑問の解消が進むケースもあります。機能を足す前に、問い合わせで実際に何を聞かれているかを一覧にするほうが、費用対効果の判断は早くなります。
スマートフォンからの閲覧をどこまで前提にするか
関西の案件では、スマートフォン利用率が約70%という前提でスマホファースト設計を目的に掲げていました。これは共立メンテナンス様の学生寮向け物件情報サイトにおける記載値であり、不動産業界一般の数値ではありません。自社の比率は、自社のアクセス解析で確認してください。
機能の話に入る前に、次の3つを聞いてみてください。「今の離脱がどこで起きているか、根拠は何か」「その機能をサイト内に持つ場合と外部サービスを埋め込む場合で、費用と運用はどう変わるか」「検索軸を1つ増やすと、ページ数と期間はどれだけ増えるか」。機能一覧ではなく、この3点に具体的に答えられるかどうかが判断材料になります。
物件写真と原稿は誰が用意するのか
機能が決まっても、中身が埋まらなければ公開できません。結論から書きます。写真と原稿の調達先を決めていないまま制作を始めると、公開日が動きます。ページのデザインは進むのに中身が埋まらない、という止まり方をするためです。発注前に「誰が撮るか」「誰が書くか」を決めておいてください。
写真がそのまま商品力になる領域
不動産は、写真が判断材料そのものになる領域です。名古屋の案件でも、「料金」と「物件写真」への導線不足が離脱要因として挙げられていました。つまり写真は、撮って載せれば終わりではなく、どこから見せるかという導線とセットで考える対象です。
撮影が要件に入っている案件も実際にあります。AVANTIA様の採用サイトの案件では、クライアントから「モデル使用の有無など諸々含めて写真撮影の提案・実施を任せたい」という要望が挙がっており、対応領域にイラスト・撮影・動画・DTPが含まれていました。コロンビア・ワークス様のコーポレートサイトの案件では、制作体制に撮影ディレクターが参画しています。
撮影・取材まで含めて依頼できるか
当社のよくあるご質問では、スチール写真の撮影から動画を活用した撮影まで、専任のアートディレクターが担当すると回答しています。あわせて、取材を通じた原稿の対応、ロゴやCI/VI、会社案内・カタログといったDTPにも対応しています。
ここで判断すべきなのは、「制作会社に任せるか」「自社で用意するか」の切り分けです。物件写真のように点数が多く、更新のたびに増えていくものは、社内で撮影・登録できる状態にしておくほうが運用は続きます。一方で、トップページや会社紹介に使う象徴的な数カットは、プロが撮ったかどうかの差がそのまま出ます。全部を外注する必要も、全部を自社で抱える必要もありません。
見積書を受け取ったら、どこに撮影費と取材費が乗っているかを確認してください。「撮影は何カット・何日分か」「取材と原稿執筆は範囲に入っているか」「物件写真の追加は公開後に誰がやるのか」。この3つが曖昧なまま進むと、公開直前に追加費用として顔を出します。
支店・エリアごとに分けるか、1サイトに集約するか
先に判断軸だけ示します。分ける/集約するのどちらが正しいかは、運用体制で決まります。当社にも「分けた」実例はありますが、「集約したほうがよかった」側の実例はデータとして持っていません。ですから両論を対等な事例として語ることはできません。ここでは実例と、判断の軸を分けて書きます。
分けた実例はあります。先に触れたエリア特化の案件(works 6378)では、各支店共通のサイトが以前から存在する状態で、名古屋エリアに特化したサイトを新たに構築するという判断をしています。クライアントのコメントとして、「名古屋エリアに特化したサイトを構築することで、より物件の魅力や情報を発信しお問合せの反響を増やしていきたい」という言葉が公開実績に記載されています。
また、同一のクライアントで拠点別に別サイトを構築した例もあります。名古屋の案件が44ページ・7カ月、関西の案件が37ページ・8カ月です。ただしこれは学生寮というサービス単位のサイトであり、賃貸仲介の支店サイトを分割する話と同列には扱えません。この点は誤解のないように書いておきます。
判断軸は、一般論として次の3つに整理できます。
| 判断軸 | 分けるほうが向く場合 | 集約するほうが向く場合 |
|---|---|---|
| 運用体制 | 支店・事業部ごとに更新担当がいて、独立して回せる | 更新担当が本社に1〜2名で、複数サイトを見きれない |
| コンテンツ量 | エリア固有の物件・実績・スタッフ情報が十分にある | ページの中身が共通化され、同じ内容が並ぶ |
| 検索での競合 | 扱う商材やサービスが明確に違う | 同じキーワードで自社サイト同士がぶつかる |
3行のうち、実務でいちばん効くのは1行目の運用体制です。サイトを分けるということは、更新の手間がサイトの数だけ増えるということでもあります。物件情報のように毎週入れ替わる情報を扱うなら、その負荷は保守費用より先に、担当者の時間として現れます。前章までに見たとおり、更新が止まったサイトは価値をそのまま失います。「分けたほうが伝わる」よりも先に、「分けても回せる人がいるか」を確かめてください。
2行目のコンテンツ量も、分けたあとに効いてきます。エリアごとにサイトを持つなら、そのエリア固有の物件情報・実績・スタッフ紹介が、それぞれのサイトを成立させるだけの分量で用意できる必要があります。共通の会社案内をコピーして並べただけのサイトが増えると、読み手にとっては同じ内容の入口が複数あるだけの状態になります。
3行目の検索での競合は、決める前に確認しておくと安全です。同じ地域・同じ商材のページを複数のサイトに置くと、どちらを検索結果に出すかを自社サイト同士で競う状態になります。分ける判断をするなら、扱う商材やサービスの違いを、ページのタイトルと中身のレベルで説明できるかを先に確かめてください。エリア特化の案件のように「全社共通サイトでは書けない情報を書くために分ける」という理由が立つなら、この条件は満たしやすくなります。
なお、分けるか集約するかは、公開後に変えるコストが大きい部類の判断です。サイトを1つ増やすということは、ドメイン、サーバー、CMS、保守契約、アクセス解析の設定がもう一式増えるということでもあります。制作費の見積を並べるだけでは、この差は表に出てきません。
社内で稟議を通す前に、「分けたあと、誰が何サイトを更新するのか」を詰めてください。制作費だけで判断すると、運用に入ってから苦しくなります。
採用サイトを別に作るべきか
サイトを分けるかどうかは、採用の領域でも問われます。結論から書きます。採用サイトは、コーポレートサイトとは読まれ方も評価のされ方も違います。当社が公開している不動産関連の実績12件のうち、3件は採用関連の案件です。当社でも、採用単体で相談される案件と、コーポレートサイトと同時に進める案件の両方があります。
採用媒体から来た人が離れる理由
採用サイトの相談で挙がる課題は、「応募が来ない」ではなく「来た人と話が合わない」であることが少なくありません。
AVANTIA様の採用サイトの案件では、課題がこう記録されています。2年ほど前に「営業職」「稼ぎたい」という切り口で構築したサイトが、現在の採用市場と乖離してしまっていたこと。そして「媒体から採用サイト訪問時のミスマッチを防ぎたい」「応募エントリーの質と向上を担える採用サイトへ」という要望です。
採用媒体に掲載していれば応募の入口は確保できます。ただ、媒体で興味を持った人の多くは、次に自社サイトを見に来ます。そこで語られている人物像が数年前のままだと、そのギャップが辞退やミスマッチとして表面化します。媒体は入口、採用サイトは判断材料という役割の違いです。

採用サイト/7カ月・37ページ/撮影・動画対応
何を載せると読まれるのか
コロンビア・ワークス様の新卒採用サイトの案件では、課題がこう整理されていました。ブランドイメージは一定の評価を得ていたものの、事業の具体的な魅力、入社後の働き方、独自の社風といったリアルな情報が伝わりきっていなかったという点です。
ブランドの世界観が整っていることと、応募者が入社後を想像できることは別です。前者だけを磨いても、「良さそうだけれど、自分が何をするのかは分からない」で止まります。載せるべきは、職種ごとの1日の流れ、入社1年目に任される範囲、評価のされ方といった、判断に使える情報です。

採用サイト/4カ月・16ページ/静的HTML
この新卒採用サイトについては、公開後の記録が残っています。公開初月において、エンゲージメント率66.18%、平均エンゲージメント時間1分2秒、外部デザインギャラリーへの掲載による想定以上のReferral流入がありました。同じ記録に「少数ながらもエントリー(CV)が発生し」とも記載されています。
数字の読み方には注意が必要です。これは公開初月というごく短い期間の、1サイト分の記録です。応募が大きく増えたことを示すものではありませんし、物件を探させる型のサイトの集客成果に読み替えられるものでもありません。採用サイトの初動として、滞在の質が確認できた、という範囲の話です。
初回の打ち合わせで、「今の応募者が、媒体と自社サイトのどちらで辞退しているか」「求める人物像は何年前に決めたものか」「公開後に何を見て良し悪しを判断するのか」の3つを先に共有してください。ページ数やデザインの話は、そのあとで十分です。
上場・グループ再編に合わせて作る場合
採用と並んで、サイトの目的そのものが変わるきっかけになるのが上場やグループ再編です。このタイミングでサイトを作り直す場合、読者が「投資家・取引先」に広がることを前提に設計を組み直します。集客のためのサイトから、会社の信用を確認されるサイトへ、目的そのものが変わるためです。
当社が担当したコロンビア・ワークス様のリニューアルは、2024年3月の上場を機に着手したものです。上場に伴ってIR情報を増設している状況にあり、IRページはE-IR(IR情報の配信サービス)との連携を前提に設計する必要がありました。目的として掲げられていたのは、取引先である地主や機関投資家に対するプレゼンスを高めることです。
この案件は8カ月・46ページという規模で、体制には撮影ディレクターが参画しています。上場を機に、グループ各社を含む複数サイトのリニューアルとして進めた案件でした。

コーポレート+採用/8カ月・46ページ
IRを載せると何が増えるのか
「IRページを足す」と聞くと、ページが数枚増える程度の話に聞こえます。実際に増えるのは、ページよりも先に決めておくべきことと、社内の担当です。この案件の記録から読み取れる範囲で、3つに整理します。
- 外部サービスとの連携──IRページはE-IRとの連携を前提に設計する必要があります。自社のCMSだけで完結しないため、どこまでを配信サービス側に持たせ、どこからを自社サイト側で作るのかを、設計の段階で線引きしておく必要があります。
- 開示資料の置き場所──開示する資料を、どのページに、どの単位で置くか。ファイルは公開後も増え続ける前提なので、置き場所と一覧の作り方を最初に決めておかないと、あとから増設しづらくなります。
- 更新の担当──開示のタイミングに合わせて更新が必要になります。誰が更新するのかが社内で決まっていないと、設計そのものが止まります。ここは制作会社側では決められない領域です。
加えて、投資家や取引先に向けたページでは、会社の実体を写真で見せる比重が上がります。この案件で制作体制に撮影ディレクターが参画しているのは、そのためです。撮影が体制に入るということは、撮影日の調整と、被写体になる人・場所の手配が、社内側の工程として乗るということでもあります。公開日が動かせない案件では、この社内工程を工程表に先に置いておくかどうかで、後半の余裕が変わります。
スケジュールが動かせない前提で考える
上場やグループ再編は公開日を後ろにずらせないのが特徴です。制作側の都合で遅らせられません。だからこそ、逆算で組む必要があります。
特にIRは、掲載する情報の種類と更新の担当が社内で確定していないと、設計が止まります。開示資料をどこに置くか、誰が更新するか、外部配信サービスとどうつなぐか。この3点は制作会社側では決められない領域です。着手前に社内で決めておくほど、後半の作業が軽くなります。
提案を受け取ったら、「IR配信サービスとの連携実績はあるか」「グループ会社のサイトを並行して進めた経験はあるか」「公開日が固定の案件をどう管理するか」の3つを確認してください。上場対応は、デザインの話よりも先に、スケジュールと情報の受け渡しの話になります。
物件情報を載せるサイトで、制作前に確認しておく論点
物件情報を掲載するサイトには、掲載してよい内容や表示のしかたに関するルールがあります。ここは制作会社が判断できる領域ではありません。この記事でも条文や基準の中身には踏み込まず、「何を先に確認しておくべきか」という論点だけを挙げます。
仕様を決める前に確認しておきたい項目
- 免許番号など、会社として表示しておくべき情報の種類と、どのページに置くか
- 取引態様(売主・代理・媒介といった立場)の表示を、物件詳細のどこに固定表示するか
- 広告を出してよい時期の考え方と、それをサイト運用上どう担保するか
- 物件情報として表示する項目、表示の単位、表記のルール
- 掲載を取り下げる際の手順と、誰がいつ実行するか
これらは物件詳細ページのテンプレート仕様に直結します。あとから「この項目も必須だった」と分かると、テンプレートの作り直しになり、一覧・詳細・検索結果のすべてに影響が出ます。手戻りとしては最も重い部類です。
判断は自社の法務と所属協議会に委ねる
具体的に何をどう表示すべきかは、自社の法務担当、および所属する不動産公正取引協議会の規定で確認してください。当社を含む制作会社は、その判断を代行できません。
進め方としては、キックオフの前後で「掲載する項目の一覧」を自社側で確定させ、それを仕様として制作会社に渡す形が最も安全です。物件データの入り口(自社で入力するのか、CSVで取り込むのか、基幹システムや管理システムと連携するのか)も、この段階で決めておくと設計が一本化できます。
進め方を決める段階で、「表示ルールの確認は誰の責任範囲か」を最初に明文化しておいてください。ここが曖昧なまま進むと、公開直前に確認作業が集中します。
作り直すか、直しながら使うか
ここまでを踏まえて、既存サイトがある場合の判断です。分かれ目は、今の課題が「部分」なのか「構造」なのかにあります。特定のページや機能だけが問題なら改修で足ります。構成そのものが噛み合っていないなら、作り直したほうが早いことがあります。
継ぎ足しの改修が積み上がった状態
名古屋の案件は、2019年に構築された既存サイトが、度重なる部分改修によりデザインや構成の整合性が損なわれていた状態からの再構築でした。ヒートマップ分析でも、ユーザビリティの低下が明らかになっていたと記録されています。
コロンビア・ワークス様の場合は、デザインの老朽化に加えて必要なコンテンツが不足しているという課題でした。足りないものを足すだけでは追いつかない、という判断です。
物件情報のように更新が続くサイトでは、継ぎ足しの改修が積み上がりやすい構造があります。新しい物件種別、新しいキャンペーン、新しい問い合わせ経路。そのたびにページを足していくと、当初の設計思想から少しずつずれていきます。
費用面での考え方
費用の章でも触れたとおり、当社のFAQでは新規制作とリニューアルで単価はおおむね同等と回答しています。対応する業務範囲が変わることはありますが、ページ単価が大きく下がるわけではありません。「リニューアルだから安く済む」という前提で予算を組むと、途中で調整が必要になります。
当社の場合は、部分改修で足りるのは、課題が1つのページや1つの機能に閉じている場合ですとお答えしています。物件の見せ方・検索・問い合わせが同時に噛み合っていないなら、当社では作り直しを提案します。改修を積み重ねても、構造の問題は残るためです。
同じ基準を他社にも当ててみてください。「今のサイトを残す案」と「作り直す案」の両方を出してもらい、それぞれで何が解決して何が残るのかを並べてもらうと、判断材料が増えます。最初から作り直し前提の提案しか出てこない場合は、その理由を聞いておいてください。
誰が、どう作るのか
最後に、進め方そのものの話です。サイト制作は複数の職種が分担して進める仕事です。誰が何を担当し、何回打ち合わせをするのかが分かっていると、社内のスケジュールも組みやすくなります。
体制と打ち合わせの回数
当社のFAQでは、「各案件により体制は異なりますが、一般的なプロジェクトの場合は」という前置きのうえで、プロデューサー/ディレクター/設計/デザイン/コーダー/WordPressエンジニアの6名を挙げています。案件の規模や要件によって、この構成は変わります。
打ち合わせの回数も公開しています。提案までに最小2回、内容に踏み込む場合は2〜4回のすり合わせ。制作期間中はクライアントとの打ち合わせ10〜15回に加えて、社内の打ち合わせが13回という記載です。担当者の側から見ると、月に1〜2回の打ち合わせが半年以上続く、という感覚に近くなります。
制作の進め方は内製のワンストップ体制で、アウトソーシングでの構築は「基本行っておりません」としています。設計から撮影、実装までを同じ体制で回す形です。
修正回数と、途中で止めた場合
修正の扱いも先に確認しておくべき項目です。当社では各工程3回ほどの修正期間を設けており、工程の戻りや過度な修正が発生する場合は別途見積となります。
途中で停止した場合は、工程を消化した分のみの精算です。100万円を超える案件や長期の案件では着手金をいただいています。契約や支払いのタイミングを含めた実務の流れはホームページ制作の流れにまとめています。
WordPressのセキュリティをどう説明するか
情報システム部門の審査でよく問われるのが、WordPressを使うことの安全性です。ここは言い切れる話ではないので、事実として何をしているかで答えるのが現実的です。
当社のFAQでは、この点について「WordPressの技術書籍なども発刊しているエンジニアがセキュリティを考慮した要件にて納品」しており、「当社においてはWordPress納品後の改ざん被害はございません」と回答しています。加えて、第三者機関によるOWASP TOP10(Webアプリの代表的な脆弱性をまとめた指標)基準の診断も、実施することが可能です。標準で付くものではなく、オプションとしての位置づけになります。
複数社から提案を受ける場合は、「CMSの選定理由」「更新やバックアップの運用を誰が担うか」「脆弱性が公表されたときの連絡経路」の3点を聞いてください。製品名ではなく運用体制の話として聞くと、情報システム部門への説明資料もそのまま作れます。提案書の見比べ方そのものはホームページ制作会社の選び方で整理しています。
不動産関連の公開実績
当社が公開している不動産関連の実績は12件です。賃貸・売買の不動産会社に加えて、学生寮・社員寮といった住まいに関わるサービス、不動産投資関連を含みます。
12件のうち、本文で背景まで紹介した6件(名古屋の案件、関西の案件、エリア特化の案件、AVANTIA様の採用サイト、コロンビア・ワークス様の新卒採用サイト、同社のコーポレート+採用リニューアル)を除く残りを並べます。公開タイトルとサムネイルのみの案件です。背景・期間・ページ数・体制は公開していないため、ここでは推測で補わず、社名と区分だけを載せます。


不動産会社/コーポレートサイト

不動産会社・人材紹介/コーポレートサイト

不動産会社/コーポレートサイト

不動産会社/コーポレートサイト

不動産会社/コーポレートサイト
並べてみると、12件のうち5件は不動産会社のコーポレートサイトです。物件を探させる型のサイトばかりが並ぶわけではありません。冒頭で「不動産で一括りにすると判断を誤る」と書いたのは、当社の実績そのものがこのとおりに割れているからでもあります。
制作会社の実績を見るときは、件数より「型が自社に近いか」を見てください。物件情報サイトの経験、コーポレートサイトの経験、採用サイトの経験は、必要な設計も、公開後に見る数字も違います。「不動産の実績が◯件あります」という言い方は、その内訳が分からないかぎり判断材料になりません。当社の12件についても、同じ見方で内訳を確かめていただいて構いません。
まとめ:発注前に決めておく6項目
最後に、冒頭で挙げた6項目を、本文で分かった判断の基準に置き換えて並べ直します。
- ①どの型か──提案書の冒頭に、3つの型のどれとして設計したかが書かれているかどうかで、提案の精度が分かります。ここが曖昧な提案は、後工程でページ数と期間が動きます。
- ②今の3つの数字──賃貸・管理19サイトの月間セッションは19〜69,591。業種が同じでもこの幅なので、他社の平均ではなく自社の先月と比べてください。
- ③物件情報の項目と更新者──表示項目は物件詳細のテンプレート仕様に直結します。後出しになると、一覧・詳細・検索結果のすべてが作り直しになります。更新者は部署名まで決めてください。
- ④機能──「増やす」ではなく、離脱している場所から逆算します。当社の案件では、外部サイトへの遷移が離脱要因として整理されていた実例があります。
- ⑤写真と原稿──調達先が決まらないと、デザインは進むのに公開日が動きます。撮影・取材の範囲は、見積書のどの行に乗っているかで確認できます。
- ⑥逆算──公開希望日 − 制作期間 − 社内稟議。稟議の期間は制作期間に含まれません。ここを足し忘れると、後半で無理な圧縮をすることになります。
不動産のサイトは、型が違えば決めるべきことも変わります。「不動産のホームページ」として一括りに相談すると、提案も一般論に寄ります。逆に、上の6項目のうち3つでも自社の言葉で答えられる状態で相談すれば、出てくる提案の具体性は大きく変わります。
当社は名古屋を拠点に、不動産関連のサイトを賃貸・売買・住まいのサービス・採用まで含めて制作してきました。型が決まれば、決めるべきことも絞れます。上の6項目のうち、埋まっているものだけで構いません。「今の月間セッションと平均掲載順位」「公開したい時期」「物件情報を誰が更新するか」──この3つをお持ちいただければ、初回の打ち合わせで型の判断と、おおよその規模感(ページ数と期間)までお伝えできます。埋まっていない項目を一緒に埋めるところからでも、ご相談いただけます。
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