こんにちは。Webマーケターの蒲です。
今回は、近年多様化している顧客とのタッチポイントを俯瞰的にコントロールすることでマーケティング全体での最適化を図る「チャネル・ミックス」という考え方とその具体的な事例について解説していこうと思います。
このチャネル・ミックスを理解し、活用することでこれまでバラバラになっていた施策が点ではなく線となり、各チャネル、施策毎に相互作用が働くことでマーケティング活動全体に好影響をもたらすことになるかもしれません。
目次
チャネル・ミックスとは
チャネル・ミックスとは、テレビや雑誌、WEBサイト、SNS、展示会など複数のメディアに“適切なタイミング”で“適切な情報”を届けることによって、一つ一つのチャネル、広告効果を高めるマーケティングにおけるアプローチ方法を指します。
例えば、テレビCM配信時期にリスティング広告と整合性をもたせ、集客~刈り取りまでの効率化を図ったり、SNSで顧客との接触回数を増やし、ロイヤリティを高め実店舗でアップセルに繋げるなど、さまざまです。各チャネルを単なる顧客との接点ではなく全て繋がり・一貫性のある一つの“ストーリー”にすることで顧客体験価値を高めることが可能になります。
多くの企業でもすでにチャネルミックスが実践されているものの、それぞれが単発でうまく連携されていないため、チャネルによって方向性が異なったり、コンテンツに偏りや被りが発生してしまう事もよくあるお話です。
チャネルミックスを戦略的に構築するには、マーケティングを全体図として捉えその中での各チャネル・各施策の役割をはっきりさせることがとても大切です。
チャネル・ミックスの構築前提
チャネル・ミックスを構築するうえで、前提となるのが顧客行動プロセスと顧客セグメントとなります。
①顧客行動プロセス
顧客の行動プロセスは商品を認知→興味関心→商品理解へ行動→商品購買行動→情報共有といった項目に分類されます。一連のプロセスの中で“最適なタイミング”に合わせたチャネル施策を選定する必要があります。
②顧客セグメント
ターゲットとなる顧客の中でもBtoBの場合年間予算、担当者の決裁権の有無、検討角度、導入(納品)時期、BtoCの場合、可処分所得、可処分時間、課題など様々あります。顧客をセグメントし、“適切な情報”を届けることによって、施策効果を効率化することが可能となります。
これまでの古典的な施策として、すべての顧客に対して、テレビCMやメディアによるマス広告で認知を拡大し、店舗や営業マンなどオフラインアプローチするといったものが主流でした。
しかし、情報がありふれた今日では顧客も十人十色変わってきており、それに合わせて施策も最適化していかなければなりません。チャネル・ミックスを構築するうえで、それぞれのチャネルの”手段”から考え始めるのではなく、上記二つの前提から考えることによって“目的”が明確化され、正しい施策が見つかることでしょう。
チャネル・ミックスの活用事例
1.チャネル・ミックスの活用事例 ~マス広告×リスティング広告誘導~
電車、街中、テレビCMなどでよく見かける、「~で検索!」といったプロモーション。こちらもチャネル・ミックスを活用した王道的な事例です。
キャッチーな言葉、人物、ビジュアルで人々に“認知”させ、広告内で“興味”を抱かせるように設計されており、“検索”行動を促すことで顧客育成を図っています。そして検索してきた顧客に対しもれなく確実にアプローチできるよう、リスティング広告の広告文にも「CMの答えはこちら」などCMとの整合性が高いキーワードを散りばめることでクリック率を高めています。
このようにマス広告による広い層へのアプローチ力と検索行動へ移す訴求力、リスティング広告による刈り取り力はそれぞれのチャネルを生かした有効なマーケティング戦略の一つです。
2.チャネル・ミックスの活用事例 ~キャラクタービジネス~
日本が誇る一大産業、「アニメ」もチャネル・ミックス戦略を用いて世界中のファン獲得、ビジネスとしての成功を収めています。
キャラクターという軸は変えずにゲーム事業、アニメ・映画事業、カード事業、ライセンス事業などを展開させ、それぞれのターゲットに合わせたルール整備・設計をすることによって多角的にコンテンツを展開しています。
事業を横展開、さらにそれぞれのターゲットに沿った訴求を行うことによって、より幅広層へ適切なアプローチを行うことができます。さらにはそれぞれの事業を跨ぐような親和性を持たすことによって、相互関係が生まれ更なる顧客育成、アップセルが可能になります。
3.チャネル・ミックスの活用事例 ~ECと実店舗~
多くのオフライン店舗がamazonなど大手プラットフォームによって、売上を奪われている中でも実店舗とECをそれぞれ使いわけることによって成功している会社(ブランド)も存在します。
例えば、手に取りやすい価格、多くの人が使用するような物をフロント商品(いわゆる“売れ筋”)を販売します。
そこにはセールやイベント、特典など顧客にとってメリットを発生させることによってライト層の獲得も見込めるかもしれません。
そしてフロント商品をECで購入する際に得た、顧客情報を用いてアプリ、メルマガ、SNSなど各チャネルから顧客へ情報を送ります。
顧客が会社(ブランド)を知り、理解してもらうことによって本当に売りたいバックエンド商品(いわゆる“売り筋”)を購入へと繋げていけるのです。
この一連の流れは商材によっても異なり、例えば家電などを購入する際は多くの人が一度家電量販店など実物を見に足を運ぶことでしょう。
また、低価格の衣類などで特に季節ものなどはすぐに着用したいため、ECで済ませる顧客が多いかもしれません。
このような顧客行動・心理もしっかりイメージしたうえでフロント商品・バックエンド商品を意図的に設計することが大切です。
まとめ
本記事ではマーケティングに役立つ、チャネルミックスについてと具体的な活用事例を紹介させていただきました。
チャネル・ミックスは全体図として捉え、それぞれの内部要因・外部要因など考慮したうえで、顧客導線が一連のストーリーになるような設計が必要となります。
それらは当然、成功パターン(勝ちパターン)がすぐに見つかるという事は少なく、見つかったとしても時流によって成功パターンではなくなることもあるかもしれません。
まずは自社の商品・サービス、それらに纏わる情報を整理し、マーケティング戦略を立てたうえで、数値と仮説を元に繰り返し検証していくことになるでしょう。