
こんにちは!Grow Group広報担当のイトウです。
先日、デザイナー部門 設計課のスズキさんによる、社内フォント勉強会が開催されました。
選んだフォントがどのような印象を与えるか、状況に合わせたフォントの選び方など、デザイナーでなくても、普段の資料作成などでも参考になる内容でしたので、今回はその内容をお届けします。
フォントについて知ろう
勉強会ではフォントの重要性を理解するために、まずはその役割とルーツを辿っていきました。
フォントは「言葉の服装」

突然ですが、この2つの文章を見たとき、どんな印象を受けるでしょうか?
明朝体の上段、ゴシック体の下段ともに、文章のとおりの印象を受ける方が多いのではないかと思います。
例えば、誰かに向けての公式な謝罪文を、華やかでポップなフォントで書いたらどうなるでしょうか?
内容がどれほど誠実でも、受け手には「本当に反省しているのか?」という疑念を抱かせてしまうかもしれません。
このように、フォントは情報にとっての「服装」や「声色」のような役割を持っています。
一つひとつのフォントの選択が、情報の伝わり方やブランドの信頼性に劇的な影響を与えていることを意識し、伝えたいメッセージに応じたフォントを意図を持って選べるようになることで、デザインや資料の説得力は劇的に向上します。
フォントのルーツを辿る
スズキさんによると、フォントの歴史は印刷の歴史とも呼べるそうです。
西洋:グーテンベルクの技術革命(1450年頃)
現代のデジタルフォントのルーツは、15世紀のドイツにあります。
ヨハネス・グーテンベルクが近代活版印刷術を確立したことで、それまで特権階級しかアクセスできなかった、ありとあらゆる物事に対する「知識・情報」が民衆へと開放されました。
この時、彼が組み合わせたのは以下の3要素です:
- 合金活字:鉛・錫・アンチモンを用いた精密な鋳造技術(今で言うハンコのようなもの)
- 油性インキ:紙の両面に定着する特殊なインキ
- プレス機:ぶどう搾り機を改良した機械化システム
余談ですが、社内Slackでは、グーテンベルクの活版印刷が卒論のテーマだったという声や、大ヒット人気アニメ「チ。 ―地球の運動について―」でも登場した、ぶどう絞り機に反応する声もあり、盛り上がっておりました!

話は戻って、この技術革命が情報の民主化の原点であり、私たちが今日手にする書籍やデジタル文字の始まりとのことでした。
日本:本木昌造と活字の体系化(1870年)
日本では、幕末から明治にかけて本木昌造が近代活版印刷を定着させました。
日本語は漢字・ひらがな・カタカナを合わせると膨大な文字数になりますが、本木氏は「電鋳法(でんちゅうほう)」という方法を導入することで、複雑な漢字の精密な量産を可能にしました。
また、文字のサイズを体系化する「号数制」を制定し、印刷インフラを構築しました。
私たちが今、パソコンで美しい明朝体を使えるのは、この明治期のインフラ整備という土台があるからこそなのだそうです。
フォントの基本分類を知る
フォントは「和文」と「欧文」の2つに分類できます。
まずはそれぞれの特徴を理解しておくことが、フォント選びでは重要となります。
和文の分類:明朝体とゴシック体
和文フォントは、大きく分けて「明朝体」と「ゴシック体」に分類されます。
明朝体

- 特徴:横線が細く、縦線が太い。文字の端に「ウロコ」と呼ばれる飾りがある。
- 印象:高級感、情緒的、知的、伝統的。
- 用途:長文の本文(新聞や小説など)。目が疲れにくい設計がなされています。
ゴシック体

- 特徴:線の太さが均等で、飾りが無い。
- 印象:現代的、親しみ、視認性が高い。
- 用途:タイトル、プレゼン資料、看板。遠くからでも認識しやすいため、スライド資料などに向いています。
欧文の分類:セリフとサンセリフ
欧文フォントも同様の考え方で分類されます。
セリフ (Serif)

和文フォントの明朝体に相当し、文字の端に飾り(セリフ)があります。
サンセリフ (Sans-serif)

和文フォントのゴシック体に相当し、文字に飾りがありません。
ここで面白いポイントだったのがその語源です。
「Sans(サン)」はフランス語で「〜がない」という意味です。
つまり「セリフ(飾り)がない」フォントを指します。
実務で役立つテクニカル知識
デザインツールなどで新しいフォントを導入する際、ファイル名や拡張子を見て戸惑ったことはありませんか?
ここを正しく理解することで、トラブルを防ぎ、最適な環境を構築できます。
拡張子とスペックの解読

フォントをダウンロード等した際に見かける拡張子がOTF(OpenType)とTTF(TrueType)です。
それぞれの特徴は上図のとおりですが、スズキさんによると、現代のビジネス環境において推奨されるのは圧倒的にOTFなので覚えておくとよいとのことでした(下図参照)。

※最新技術として、ウェブ専用の圧縮形式であるWOFF2も登場しています。
フォント名末尾の記号の正体
「ヒラギノ明朝 ProN」のように、フォント名の後ろにつく「Std」「Pro」「N」などの記号は、そのフォントのスペックを表しています。
収録文字数
- Std (Standard):約9,354文字。常用漢字をカバーしており、事務用には十分です。
- Pro (Professional):約15,444文字。人名や地名に強い特徴があります。
- Pr6 (Pro 6):約23,058文字。ほぼ全ての漢字を網羅しており、出版用で使われます。
変換しても出てこない地名や名前に遭遇した場合は、より上位のスペック(Pro以上)を選ぶのが正解です。
漢字の形
Nは「New」という意味合いとのことで、この有無で下記のスペックの違いを表しています。
- N あり(例:ProN):JIS2004という現代の標準字形。
- N なし(例:Pro):JIS90という一世代前の字形。

上図のように、例えば「辻」という字はNありなら点は2つ、Nなしなら点は1つになります。
ビジネス実務では「Nあり」を選ぶのが鉄則です。
幅とデザイン(P と UD)
- P(プロポーショナル):文字ごとに幅が調整されており、文章が綺麗に詰まって見えます。ただし、数字の桁を揃える必要がある「表」などには不向きです。
- UD(ユニバーサルデザイン):濁点を大きくしたり、隙間を広げたりすることで、離れていても、あるいは視力が低い方でも読みやすいように設計されたフォントです。
フォント選びのコツとは
代表的なフォントメーカー
世界中には数多くのフォントベンダーがありますが、そのなかでも下記は主要な4社です。
- モリサワ (Morisawa):国内シェア1位。印刷・出版業界のデファクトスタンダード。代表作は「リュウミン」「新ゴ」など。
- フォントワークス (Fontworks):アニメ、ゲーム、テレビ業界で圧倒的人気。「筑紫明朝」や、エヴァンゲリオンで使用された「マティス」が有名です。
- Adobe:デザインツールの標準。高品質な多言語対応フォント「Adobe Fonts」を提供しています。
- Monotype / Google:欧文書体の世界最大手と、多言語対応の「Notoシリーズ」を主導するGoogle。Noto Sansの「Noto」は、文字化けの□(通称:豆腐)をなくしたいという「No more Tofu」という想いから名付けられました。
フォント別のおすすめの用途
勉強会では下図のように、フォント別におすすめの用途を紹介してくれていました。

まずは「誰に」「何を」伝えたいかでフォントを選ぶのがコツとのことでした。
フォント管理の重要性を知る
フォントは単なる文字データではなく、企業の「資産」です。
管理を怠ると、以下のような深刻なリスクを招きます。
- PCの動作低下: フォントを闇雲に入れすぎると、PCやアプリの起動が劇的に遅くなります。必要なものだけを適切に管理しましょう。
- ブランドの崩壊: チーム内でバラバラなフォント(例えば、ある人は游ゴシック、ある人はメイリオなど)を使うと、資料の統一感が失われ、ブランドの信頼性が低下します。
- ライセンス違反: これが最も恐ろしいリスクです。「商用不可」のフォントを無意識に利用したり、1人分のライセンスを使い回したりすることは、法的なトラブルに直結します。「業務(商用)に使用して良いか」「PDFに埋め込んで配布して良いか」「ロゴに使用し、商標登録が可能か」など、使用前に必ず確認しておくべきです。
また、実務でのルールとして守った方がよいのが「偽ボールドを避ける」という点です。
アプリの「B」ボタンで無理やり太くすると、下図のように文字の形が崩れたり潰れたりするため、必ずフォントファミリー内の正規の「Bold」や「W6」などを選びましょう。

まとめ:フォント選びで言葉に「最適の服装」を
勉強会の最後ではスズキさんから、「誰に」「何を」伝えたいのか、その意図を持ってフォントを正しく選ぶことは、情報の信頼性を高める第一歩であるとのお話がありました。
企業ブランディングにおいてもフォント選びは重要な要素であり、公式サイトやパンフレット、名刺など、自社にかかわるすべての人たちが目にするそれらのものから受ける印象は、使用されているフォントにも左右されると言っても過言ではありません。
最近の無料ホームページ作成ツールでもフォントの種類は豊富ですが、故にフォント選びに迷った挙句、自社やサービスが与えたい印象とは異なる仕上がりになってしまう危険性もあります。
Grow Groupはデザインの見た目を整えるのはもちろんのこと、誰に、どう伝えるかという視点から、その先にある「伝わる」「迷わない」「読みやすい」体験設計、そしてブランディングまでを一貫して対応できることが強みです。
自社のブランディングを強化したいとお考えの方はぜひ、お気軽にGrow Groupへご相談ください!








